読書

最近は、本読んで、テレビで五輪見て…、という生活になってきた。

★★★★ 御嶽山(みたけさん)の神官の屋敷を舞台とした、霊的な不思議な昔話。霊的と言っても、呪いだ何だというホラーではなく、御岳山の自然と神と人間の、厳かだったり、切ない気持ちにさせる話。昔「御嶽山に行く」と言っていた外国人がいて、「何故そこに?」と思ったことがあるが、この本を読むと一度行ってみたくなる。

★★★★★ 時代物の短編集。時代小説の面白さの一つは、現代よりも厳しい規範の社会の中で、色々と葛藤が生じるところにある。作者は、江戸時代の経済/政治/社会の制度や風習をネタに、現代にも通じる人間臭いストーリーを作り上げる人。制度や風習のネタ自体の面白さもあるし、そこから生じる葛藤を織り込んだストーリーを作る構想力もすごい。

★★★ 中国/印度/日本の歴史小説短編。補陀落渡海記が印象深い。補陀落渡海は、小舟の中に自らを閉じ込めて海を漂い、補陀落(南方にある浄土)を目指すという修行。小説は、決心がつかぬまま渡海にのぞむ、補陀落寺の老年の住職が主人公。渡海への恐怖から我を失う様を描く悲劇的な話だが、周囲の雰囲気に押されて渡海せざるをえなくなる様や、住職でありながら補陀落に渡り救われることを信じていない様は、喜劇的でもある。

★★ 違法捜査も辞さないマル暴刑事とその部下が、暴力団同士の抗争を止める話。対立組織を追い詰めていくところは面白い。だが、ダーティーヒーローである刑事や、その刑事が癒着している暴力団がイイ人でカッコよすぎる。キャラが類型的というか。映画とかには向くかなと思ったら映画化されているらしい。

★★★ 直木賞作品「邂逅の森」の作者によるマタギ小説。若い女性編集者が主人公で、現代における自然(熊)と人間の共生をテーマにしている。舞台が現代であり、人間同士の自然観の対立と理解が話のメインであるため、原始的な力とかロマンを感じさせる「邂逅」程の衝撃力はない。

★★★ 悪辣な企業経営者の娘と孫が拉致される。現在の外国人労働者問題を絡めたミステリー。偶然だがこの本を読んだ日の日経社説は「技能実習は速やかに廃止を」だった。

★ 殺し屋の話。読了できず。若い頃なら読めたかも。

★ 男と女の関係。これも最後まで読めず。

★★★★★ 恋愛小説とホラー小説を多く書く作家によるサイコホラー短編集。読んだことがある作品もあったが、「家鳴り」等はもう一度読んでも気持ち悪い。

★★★★ 「夜市」で日本ホラー小説大賞を取った作家。ゆったりした独特の雰囲気がある幻想的な世界を描く人。本作は「ネオ江戸ファンタジー小説」だそう。C3POみたいな金色のロボットが江戸時代に現れるというキテレツな設定だが面白い。